‘見えない都市’ 2008

絵はがき、水、ガラスボウル
ガラスの器と水は、レンズの効果で絵はがきにリアリティを与える。同時に水は絵はがきの写真とメッセージを徐々に崩壊させていく。壊れやすいガラスの器と水は実体のある他人の旅の経験を誇張して見せるが、記録は溶けて滲んでしまう。この現象は私たちに時間感覚と記憶の危うさを思い出させる。

 村上の作品は昔に送られた絵はがきを素材とする。高く金属棒で支えられた幾つもの水鉢の中のカードは、拡大レンズであり、崩壊作用の元ともなる水に浸けられており、実在感を強く覚える。同時に現代の我々の簡易に伝えられる情報に、軽薄臭を嗅いでしまう。ー八木光恵(ACG代表)

 村上さんの作品は、実際に誰かが使用した古い絵葉書を水の入った金魚鉢に沈めることで、場所と時間という点と線を感じさせる。いにしえのコミュニケーションの在り方を振り返ることで、現代の利便性だけに特化した携帯電話やインターネットによって失われたものを再考する作品。ー加藤義夫(インディペンデント・キュレーター)


Invisible city
postcard, water, glass bowl
Glass bowl and water gives a taste of reality to a picture postcard as an effect of lens. At the same time, water gradually dissolve the photos and messages on the postcard. The fragile glass bowl and water magnify the other’s physical experience of traveling, but these records will be rotting. This phenominon inspires us with a consciousness of time and a weakness of memories.

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