[Tokyo]はだしであるく/Walking Barefoot

トーキョーアーツアンドスペースレジデンス2026 成果発表展「はだしであるく」の第1期に参加いたします。
2025年のスイス・バーゼルのアトリエ・モンディアル滞在時にフィールドとしていた、ユニークな取り組みをする庭園の草から作った紙の作品と、新作のインスタレーションを発表いたします。


トーキョーアーツアンドスペースレジデンス2026 成果発表展「はだしであるく」

▶︎会  期
[第1期]2026年6月27日(土) - 2026年8月2日(日)
[第2期]2026年8月15日(土) - 2026年9月20日(日)

▶︎時  間
11:00-19:00(入場は閉館30分前まで)

▶︎休 館 日
月曜日(7月20日は開館)、7月21日

▶︎会  場
トーキョーアーツアンドスペース本郷 (東京都文京区本郷2-4-16)

▶︎入 場 料
無料

▶︎アーティスト
第1期:アナイス・カレニン、アレクシア・アヒレオス、池添 俊、井上拓哉、エドゥアルド・カスティーリョ・ビヌエサ、ノガミカツキ、村上 郁
第2期:宇佐美奈緒、ガン・ドンフン、Synphysica、ハラサオリ、ディエゴ・ペレス、水野 渚

▶︎主  催
トーキョーアーツアンドスペース(公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館 )

▶︎提携機関
アトリエ・モンディアル(スイス、バーゼル)、カリーズ(ドイツ、ベルリン)、センター・クラーク、ケベック・アーツカウンシル(カナダ、ケベック州[モントリオール])、HIAP [ヘルシンキ・インターナショナル・アーティスト・プログラム]、フィンランド文化財団(フィンランド、ヘルシンキ)、トレジャーヒル・アーティスト・ヴィレッジ、アーティスト・イン・レジデンス台北(台湾、台北)、ウィールズ、ベルギー・フランダース政府(ベルギー、ブリュッセル)

世界の街を舞台に滞在制作を行ったアーティストたちによる成果発表展

本展では、2025年度に東京や世界各国の提携機関のレジデンスに滞在した国内外のアーティストたちが、その成果を発表します。第1期は、「テクノロジーと人間のかたち」というテーマを共有してTOKASレジデンシ―で滞在制作を行った4名を含む7名が、第2期は6組の作家が同じ空間を共有して行うグループ展です。 

私たちが暮らす社会では、価値基準や思考はしばしば、帰属する集団によって規定されます。それは靴を履くように、身を守り歩きやすくすると同時に、世界とのあいだに一定の距離を生み出します。本展に参加するアーティストたちは、それぞれのテーマを探究する中で、意図的あるいは必然的にその靴を脱ぎ、素足になって世界に触れ直しています。

社会的な関係を扱う彼らの実践からは、属性や役割を一度外し、個へ戻ろうとする視点が見えてきます。たとえば、異なる時代や場所に存在する誰かの思考と共鳴することや、身体の一部に目を凝らすことなどをとおして、どこの誰であるかとは別の地平で、他者と出会っています。
一方で、人間以外のものと対峙する際には、社会の靴は通用しません。人間は自然という脅威の中で生存するために群れをつくり、社会を育んできました。それでも自然に向き合う時は、ひとつの身体と感覚をもつ素足の生き物として立つほかありません。

このように彼らは自発的に、あるいは不可避的に、社会的な前提からいったん離れ、脆弱性を引き受けながら世界との距離を詰めようとしています。素足で草や岩の上を歩くとその感触の豊かさと皮膚の繊細さを再認識するように、自らの実感を手がかりに世界と関係を結び直す。それぞれの歩みが、本展においても立ち現れてくるでしょう。 

https://www.tokyoartsandspace.jp/archive/exhibition/2026/20260627-7557.html

以下の関連イベントに出演いたします。
その他のイベントについては、公式サイトをご確認ください。

第1期:アーティスト・トーク 2

▶︎日時 2026年7月4日(土)16:00-17:00
▶︎出演 池添 俊、村上 郁       
▶︎会場 トーキョーアーツアンドスペース本郷
▶︎料金 無料
▶︎言語 日本語のみ

※日程および参加アーティストは変更となる場合があります。
※手話通訳をご希望の方は、「7/4トークの手話通訳希望」と件名に記載のうえ、6月15日(月)までにメールでご連絡ください。
E-mail: public_program[at]tokyoartsandspace.jp [at]を@に変えてください。

[Tokyo]スイスであるく・つくる・かんがえる/Walking, creating, thinking in Switzerland

令和7年度二都市間交流事業プログラム〈バーゼル〉報告会
「スイスであるく・つくる・かんがえる ──バーゼルから見た美術と環境」

▶︎日 時:2025年9月7日(日)14時〜16時 (開場:13時半)
▶︎会 場:THE BASES(東京都小平市学園西町2-10-15)
▶︎定 員:20名(先着順・要事前申込)
▶︎参加費:無料 ※ワンドリンク・オーダーをお願いします。

登壇者:村上郁(美術作家)

▶︎参加申込みはこちらから(定員20名・先着順)
※定員が少ないため、キャンセルの場合はご一報ください。


このたび、美術作家・村上郁によるアーティスト・イン・レジデンス報告会「スイスであるく・つくる・かんがえる──バーゼルから見た美術と環境」を開催いたします。

村上は、2025年4月から6月までTokyo Arts and Space(TOKAS)の二都市間交流事業プログラムに参加し、スイス北部・バーゼルにある国際文化交流プログラムAtelier Mondialで滞在制作を行いました。

バーゼルは、ドイツ・フランスとの国境が交わる三国国境の都市であり、山や湖といったスイスらしい風景とは異なる、都市的で開かれた場所です。
ライン河が街を横断するこの街は、かつて製紙業が行われていた土地でもあり、今回の滞在では、製紙にまつわる水辺の文化と素材との関わりに視線を向けました。植物素材から繊維を取り出す紙づくりの実践を軸に、土地や環境との関係性を観察し、記録し、ときに対話を交えながら、制作を取り巻く状況について考えました。

本報告会では、滞在を通じて体感したバーゼルの文化的・エコロジカルな側面や、今年のArt Baselについて前半でご紹介します。
後半では、現地で採集した素材と社会との関係性、環境との接続について、紙づくりの実験を通じて考えたことをお話しします。
スイスの美術館や博物館、ギャラリー、アーティストのスタジオなど、現地でしか得られない情報を、映像や写真を交えてご紹介する予定です。
また、ささやかではありますが、スイスのおみやげもご用意しています。

アーティストに限らず、スイスやバーゼルに関心のある方、AIRに興味のある方にも、現地での体験を共有できる時間になれば幸いです。

お気軽にお申し込みください!

[Tokyo]The 20th Anniversary ‘LOOP HOLE Expo. 2025’

「LOOP HOLE Pavilion」
期 間:2025年8月2日(土)~11日(祝月)※8/4(月)休館
時 間:10:00ー17:00(最終日15:00まで)
会 場:府中市美術館市民ギャラリー

「短い〜の展」
期 間:2025年8月2日(土)~11日(祝月)※8/4(月)休廊
時 間:14:00ー18:00(最終日15:00まで)
会 場:LOOP HOLE


アーティスト:秋山 幸、安藤由莉、池崎拓也、石井トミイ、石川 遼、今井俊介、今井貴広、今村 仁、EKKO、大久保あり、大槻英世、岡野智史、小川 泰、O JUN、小野冬黄、小山維子、金田実生、鹿野震一郎、岸本雅樹、木下令子、木村俊幸、ケ(旧hanage)、小嶋基弘、五嶋英門、小林史子(資料展示)、齋藤雄介、酒井一吉、佐々木耕太、佐藤克久、佐藤万絵子、清水勇気、下山健太郎、ジャンボスズキ、進藤 環、杉山都葵、五月女哲平、田中啓一郎、棰石憲蔵、寺内大登、なしの、塙 将良、林 菜穂、原 汐莉、Piotr Bujak、藤原優子、ホリグチシンゴ、松本菜々、水上愛美、光藤雄介、水戸部七絵、宮崎勇次郎、宮本穂曇、ミルク倉庫ザココナッツ、村上 綾、村上 郁、横田 章、渡辺 豊

"スペース"〜幼少から憧れたこのSF的な響きが、まさかアート作品の設置場所の呼称として親しまれていると気付き始めたのは20歳頃だった。
辞書を片手に目を瞑り、開いて目に留まった単語"loop hole"を、VFX/視覚効果のスタジオ名とすると同時にギャラリーとして機能し、僕自身の作品発表の拠点としてループし続ける、、と恰好をつける筈だった。
然し、気付くと数十人に上る個性的な作家達が集まり、ARTスペースとして20年の"穴"を埋め尽くし、寧ろ世の流れを逆流させる存在感を醸し出していた。
なんだ、そりゃ、なんちゅうカッコいい奴等なんだょ…
いつしか、そう呟くようになっていた。
作家達が何処となく連なると、それが銀河のような星雲となり、小さな穴の如き"スペース" が、幼少の頃の憧れにも似た空間になっていた。
壁の穴を埋める度、今もその想いがループする。
木村俊幸(LOOP HOLE主宰・画家)

★府中市美術館への行き方
・京王線 東府中駅から
⇨徒歩17分/北口より ちゅうバス 府中駅行きで「府中市美術館」下車(8:05から毎時30分間隔で運行)
・京王線 府中駅から
⇨ちゅうバス 多磨町行きで「府中市美術館」下車(8:00から毎時30分間隔で運行)
・JR武蔵小金井駅、国分寺駅からもバスが出ています。
🕳️LOOP HOLEへの行き方
・府中市美術館から ちゅうバス府中駅行きで終点下車
⇨府中駅バスロータリーより徒歩10分
・京王線 府中駅、分倍河原駅から⇨徒歩10分
・JR南武線、武蔵野線 府中本町駅より⇨徒歩10分

※お車の場合
府中市美術館にお越しの際は、無料の「府中市臨時駐車場」をご利用頂けます。LOOP HOLEには、駐車場がございません。お近くのコインパーキングをご利用ください。

府中市美術館
〒183-0001 東京都府中市浅間町1-3
LOOP HOLE 
〒183-0045 東京都府中市美好町1-1-18 石川ビル 202号室

[Fukushima]Katsurao Collective 2024 活動報告展/Katsurao Collective 2024 Activities Report Exhibition

期 間:2025年2月1日(土)~3月末日(予定) 9:00 – 17:00
会 場:葛尾村復興交流館あぜりあ, 葛尾村立葛尾中学校 休校中校舎前 屋外
アーティスト:榎本浩子/大槻唯我/ 喜多村徹雄 /村上郁
詳 細:https://katsurao-collective.com/2030

※葛尾村復興交流館あぜりあの休館日(原則 毎週月曜日)はご覧いただけません。

Katsurao AIR 滞在期間後も継続して制作を行った、4名のアーティストによる作品を公開いたします。冬の葛尾村の澄んだ空気とともにお楽しみください。

[SAITAMA]どこかでお会いしましたね 美術と哲学の対話/Haven’t we met before? – A dialogue between art and philosophy –

会 期:2025年3月8日(土)〜16日(日)
時 間:10:00〜18:00(最終日は17:00まで)
会 場:埼玉会館 第一展示室
    さいたま市浦和区高砂3-1-4(JR浦和駅 西口から徒歩6分)
料 金:入場無料
主 催:さいたま市の美術家をつなげる会(https://jsaitama.jp/)
協 賛:Gallery Pepin・三代目満作煎餅、清宮青果

3月9日(日) 14:00 ~ 15:30 アーティストトーク
       16:00 〜 哲学者・金澤修氏と出品作家によるトークセッション

参加作家:acubi.xxx、浅野彌弦、菊池遼、熊谷美奈子、佐々木俊明、須惠朋子、高草木裕子、高島芳幸、田中宏美、戸野倉あゆみ、村上郁、諸貫きよ恵、山口真和


~作品って何だろう
  制作現場の外側から~

或る写真家は言った。
カメラを使って制作することは、ココロをカタチへ移し入れること、その意味で制作は翻訳に似ている、と。

翻訳は、わからないモノをわかるようにするやり方だ。
ココロにはカタチがない。ココロは見えない。
けれど、ココロは作品に訳されることでカタチを得る。カタチは見える。

確かにそうだ。

そう考えてみれば、あそこに建っているビルも、コンビニのビールも、スマホの画面も、きのう歩いた道も、すべて誰かのココロにあったものが、カタチをとって現れたモノなのだ。
僕たちが生きている街は、僕たちが出会うすべての世界は、「作品」で満ちている。
それらは全て、他者のココロが、そういうカタチに翻訳されたモノなのだ。
僕たちはいつも誰かのココロと一緒にいることになる。

でも、あなたは知っていますか?
それが誰のココロから出てきたモノなのかを。

街中と違って、今日、会場で出会う作品は、誰のココロから流れ出てきて、どう翻訳されたのか、あなたにはハッキリわかるはず。
もしかしたら、そのカタチに、あなたはどこかで出会っていたのかもしれません。
もしかしたら、そのココロの持ち主を、あなたはもう知っているのかもしれません。
そんなときは、あなたのココロの中を、もう一度見直してみてください。

今回の「どこかでお会いしましたね」のテーマは、異業種としての哲学者と作家とのコラボレートです。そこで、自称・哲学者の僕が、制作現場の外側から作家たちを眺めてみました。

(金澤 修 /
  東京都立大学非常勤講師・研究員
  専門 古代ギリシア・ローマの哲学、比較思想)

[TOKYO]ひかりをむすんで/COSMIC HABITAT

会 期 2024年12月25日(水) – 2024年12月30日(月)
時 間 11:00 – 20:00
場 所 渋谷ヒカリエ8/CUBE1,2,3
料 金 入場無料
主 催 Katsurao Collective (一般社団法人葛力創造舎)

福島県葛尾村にて Katsurao AIR に参加したアーティストたちの活動を「共生」をテーマに紹介します。 

Katsurao AIRは、福島県双葉郡葛尾村(かつらおむら)にアーティストたちを短期移住者として迎え入れているアーティストインレジデンス(AIR)プログラムです。

アーティストたちは、被災から13年が経過した葛尾村で暮らしながら、固有の風土や歴史、そこにある生活のリアリティに向き合い、それぞれの視点で接近してきました。村を取り巻く環境やそこに暮らす人々との共生を試みるそのプロセスは、アート作品の制作のみならず、葛尾村の日々の風景に彩りを添えています。

本展では、葛尾村で活動したアーティストたちの作品をご紹介いたします。

【アーティスト】
榎本浩子
大槻唯我
喜多村徹雄
鮫島弓起雄
三本木歓
杉浦藍
増田拓史
村上郁


ひかりをむすんで —COSMIC HABITAT—

私たちが生きる場所である宇宙(cosmos)は、生命の根源的な起点でもあります。光は恒星から惑星へと降り注ぎ、私たちが生息している地球上では、生命を育むエネルギー源として機能しています。また、科学技術が発達するにつれ、人間もさまざまな方法で光をつくりだしてきました。植物が日光や人工灯から光合成を行うことで栄養源をつくり、動物がその植物を摂取しながら命をつないでいるように、人間もまた、有象無象の光を受け取り、他者と影響しあいながら生命を継続しています。

本展では、宇宙に行き交う光「ひかり」をひとつのテーマとして、いわばそれらの光を結ぶように、他者や自然との共生のあり方を問いかけます。共生とは、異なる存在同士が新たな関係性を絶えず構築しつづける営みにほかなりません。「COSMIC HABITAT」という副題が示すのは、私たちの生態系が宇宙全体に広がる壮大なつながりに支えられていることへの認識です。

本展でご紹介するのは、地域での具体的かつ実践的な取り組みや、生きることそのものへの根源的なアプローチなど、葛尾村で暮らしたアーティストたちの多様な活動です。村での日常から宇宙的な視点まで、さまざまな関係性を網目のように浮かび上がらせることで、人と自然、そしてその先の世界との新しいつながり方を提案します。

[TOKYO]カツラオ・コレクティブ アートウィーク/Katsurao Collective ART WEEK

昨年滞在したKatsurao AIRが東京目黒区で展示とイベントを行います。
私は会期中の土日に、葛尾村で折られてる「サンカク」の折り紙のワークショップを行います。時間はInstagramでお知らせ予定です。


【アーティスト】
榎本浩子 ENOMOTO Hiroko
尾角典子 OKAKU Noriko
杉浦藍 SUGIURA Ai
橋本次郎 HASHIMOTO Jiro
町田紗記 MACHIDA Saki
工藤将亮 KUDO Masaaki
村上郁 MURAKAMI Kaoru

【会場】
Impact HUB Tokyo
〒153-0063 東京都目黒区目黒2丁目11−3 印刷工場1階
OPEN 11:00-19:00
*9月23日(月・祝)カフェは定休日ですが、展示はご覧いただけます。

【期間】
会期:9月21日(土)ー 9月29日(日)
9月21日(土)オープニングイベント(アーティストトーク、工藤将亮監督「Twin Leaves」スクリーニングイベント&トーク)
イベント情報は https://katsurao-collective.com/1693 にて随時更新いたします。


葛尾村は、福島県の東側に位置し双葉郡に属している、居住人口500人未満の小さな村です。2011年の原子力災害では、全村避難を余儀なくされました。アーティスト・イン・レジデンス※のプログラム「Katsurao AIR」(カツラオエアー)では、国内外で活躍する多様なアーティストたちを、葛尾村に短期移住者として迎え入れています。

本企画では、葛尾村での暮らしの中で生み出された作品が Impact HUB Tokyo に集います。葛尾村との出会いは、あなたにどんなインパクトをもたらすでしょうか?

※アーティストなどが普段居住する地域から離れて滞在活動するプログラム。「Artist In Residence」の頭文字をとって「AIR」と略される

[KOBE]神戸六甲ミーツアート beyond 2024/Kobe Rokko Meets Art Beyond 2024

2024年8月24日ー11月24日まで六甲山上にて開催しています。
私の作品『電球都市:神戸六甲景』は、風の協会エリア「六甲山芸術センター」57番でご覧いただけます。


展示会期|2024年8月24日(土)ー11月24日(日)
開場時間|10:00 – 17:00
開  場|神戸市 六甲山各所
鑑賞パスポートについて|https://www.rokkomeetsart.jp/passport/


先日行われた2次審査にて、『電球都市:神戸六甲景』が神戸市長賞を受賞いたしました。
本作品は『電球都市』シリーズをベースに、六甲山を開いたグルーム氏の街づくりへの眼差しと、戦前いち早く現代につながる生活を取り入れた神戸市の発展の歴史から発想を得て制作しました。

[TOKYO]存在を超えて/Beyond Existence

谷中のWALLS TOKYOにて、版画家の中村真理さんと二人展を行います。


中村真理 村上郁「存在を超えて」
Nakamura Mari, Murakami Kaoru ‘Beyond Existence’

2024.4.18 thu – 5.5 sun
12:00 – 19:00
open / 水・木・金・土・日 wed-sun
closed / 月・火 mon, tue
※この展示期間中は日曜日もOPENします

WALLS TOKYO
東京都台東区谷中6-2-41
03-6455-3559

東京メトロ千代田線/根津駅から:徒歩9分
各線/日暮里駅から:徒歩9分
JR山手線/鶯谷駅から:徒歩12分
各線/上野駅から:徒歩15分


記憶/忘却 

 『ブレードランナー』(*)というSF映画がある。「レプリカント」と呼ばれる人間そっくりのアンドロイドが労働用ロボットとして開発され、流通している未来。レプリカントたちは、人間以上の能力が装備されていて、製造後数年で感情も生じてくる。そんな彼らは、安全装置として寿命が4年に設定されている。人間に対し反乱を起こすようなことがあれば深刻な事態になると予想されるからだ。

 レプリカントは過去を持たないがゆえに感情が目覚めると情緒不安定になり始める。最新型の試作品として作られた「レイチェル」は、アンドロイド設計者の姪の記憶を移植され、自分はレプリカントではないという証拠として子供の頃の写真(姪の子供の頃の写真)を大切にしている。

 宇宙コロニーで労働に従事していた同型のレプリカント6人は、自らの寿命が4年しかないことを知り、寿命を延ばすよう製造元に迫るため、反乱を起こし地球に戻ってくる。レイチェル同様に彼らも写真にこだわる。所有する写真の中に少年が写っているモノクロームの古い写真が混ざっているのは、彼らには全く関係のない写真さえ手放さないということだ。これらの写真は彼らの持ち得ない幼い頃の記憶を作り出す糸口となるのだろう。

 港千尋は、古代ギリシア社会のムネモン(mnemon[1])についてこう説明する。ムネモンは正義の名のもとに契約の履行や支払いなどを記録する人々であるというのだが、「このムネモンは神話のなかでは英雄に付添い、絶えず過去の出来事を語りながら彼の記憶を助ける。というのも忘却はすなわち死を意味するからである。」(**)

 死を恐れるレプリカントたちは、絶えず写真に写し撮られた過去を参照しながら自分は何者であるのかを確認する。その拠り所となっている写真は自分の写真ではなく、どこかの誰かの「私」の引用だ。それでも彼らは自らが存在した/しているという証拠に固執する。忘却という死を遠ざけ、自我のある人間として生きるために。

 そこから見えてくるのは、過去と未来を持ち得るのは、主体として自身を意識する能力−自我−を持つ人間だけだということだ。生身の人間と人工知能を比較すればより明白になるだろう。ひたすら情報を統合し生成するAIは過去も未来も持つことはない。

 自我を持つ存在のみが使う一人称「私」。ここでいう「私」は、人間を意味する抽象的な「私」である。その「私」の存在を証明するものは何か。「私」がいなくなったとき、「私」が存在したという証明は行い得るのだろうか。それにはおそらく記憶の女神の助けが必要だ。過去を顧みて未来を夢想する「私」の記憶は、物質の姿を借りてそこここに存在してはいないだろうか。

 今、ここで二人の作家を紹介したい。

 村上郁(むらかみ・かおる)は、事実とされるものも認識よって変容することを基盤とし、事実と認識のズレ、勘違い、思い込み、意味の多様性、翻訳の不可能性などに着想を得て制作をしている。近年では、その場所に残された物を素材にして、人の存在と消えゆく歴史・文化、事象を読み解き、新たな物語を紡ぐインスタレーション作品を多く発表。蚤の市で手に入れたポストカードや写真、廃業した店舗に残された当時の遺物などを扱った作品がある。

 中村真理(なかむら・まり)は、使用されたノートやスケジュール帳をページ毎に版にして一枚の紙に刷るという作品を発表。複数のページが一枚の紙に刷られるため、書かれた文字は時に重なり合い、時にずれ、本来の役割を離れて抽象化されている。それは、可視化された時間の重なり合いであり、今は目的を失ってしまった記憶の痕跡である。

 役目を終えた記憶の残滓からは、僅かながらも人の存在−生きて何かを考え、感じ、未来を見ていた人−を感じることができる。「私」の抜け殻であるからこそ、その不在がかえって存在を強く感じさせる。美術家たちによって見出された人間の生きた証は、まるで忘却に対する最後の抵抗を見せるかのように静かに輝きだすのだ。

(*)リドリー・スコット監督 『ブレードランナー』 ハリソン・フォード, ルドガー・ハウアー,ショーン・ヤング 1982年

(**)港千尋 『記憶 「想像」と「想起」の力』 講談社 1996年  p.173

[1] mnemon(ニーモン)とは、古代ギリシア社会で記録係の職にあった人のこと。人の記憶の一単位。記憶術(Mnemonic)の語源。ギリシア神話の記憶の女神であるムネモシュネに由来する。

Scroll to top